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TOKYO PERFECT WORLD (NIHONBASHI)
Naho Ishii / 2016
紙にコラージュ,インクphoto collage and ink on paper

 

日本の国道のファーストナンバーである国道1号線、
永代通りから永代・南砂方面を臨んだ作品である。

手前には日本橋三洋グループビルディング。
東京建物日本橋ビル、そして傾くCOREDO日本橋が遠くに見える。

 

オフィス街のイメージはインディゴブルーだ。
それに穏やかな池のような深緑色も混じるかもしれない。
分厚いガラスのカーテンウォールが、青緑色の反射する風景を生み出している。
この垂直の水の板の向こう側で、スーツを着た人々がせわしなく働く姿が見える。その中に入ることのできないぼくは少し寂しい。けれど、その深緑色の透明を纏った人々の姿がうつくしすぎて、ぼくは蚊帳の外から水の向こう側を見つめる。

 

 

国道1号線は、東京・日本橋から大阪・梅田までを結ぶ。
全長512kmあるこのルートは、近世の東海道をほぼ踏襲しているという。

 

江戸時代から商業の町として栄えてきた日本橋だが、現在も相変わらず日本一の大商業地域(オフィス街)だ。面積は10.094km2で、東京23区の中では台東区に次いで2番目に小さいが、オフィス街なのもあって昼間人口はなんと60万人以上になる。

 

 

日本の中枢を担う企業たちの隙間を縫うようにして日本橋を歩くとき、ぼくはとても厳かな気分になるというか、すれ違う人々に対して、心から感謝するような気持ちになる。不思議なことに、全く知らない人々であるにもかかわらずだ。
たとえばアーティストがまるごとこの世界から消え去ったとしても、全く問題なく世界は廻っていくと思う。けれど、もしも日本橋や大手町にいる人たちがまるごと消え去ってしまったら、ぼくのようなアーティスト人間は瞬時に生きていけなくなるだろう。
こんなことを言ってはアーティストの人達に怒られるかもしれないが、それでもぼくはそう思う。だからこそ、日本橋のような中心地をスーツで歩く人々のことを、ぼくは大切なものを見るような目で見てしまう。

 

ぼくにとって東京・日本橋というのは、
重要な水棲生物の生息地のような、少し厳かな気分で足を踏み入れる聖域だ。

 

 

 

石井七歩

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